第15回 健康講座 インフルエンザについて
		
		
		毎年冬になるとインフルエンザが流行します。インフルエンザとはどんな病気なのでしょうか。風邪とはどう違うのでしょうか。また、65歳以上の方にはワクチン接種に公費負担が適用され、10月15日より実施されています。ワクチンはどの程度効果があるのでしょうか。今回はインフルエンザについて紹介します。
		
		
インフルエンザの特徴
		
			- インフルエンザウイルスが感染することによって起こる感染症
			
 -  突然の発熱で始まることが多く、普通の風邪よりも症状は重い
			
 - 毎年冬に流行
			
 -  年によっては大流行する
			
 - 高齢者では肺炎を併発し、重症化することも多い
		
 
		
インフルエンザの流行の歴史
		
			- 1918〜1919年のスペインかぜ:全世界で6億人(人口20億人)が罹患、死者2300万人。我が国でも38万人が死亡。
			
 - 1947年イタリアかぜ。
			
 - 1957年のアジアかぜ:中国南部から始まる。我が国でも98万人が罹患、7700人が死亡(人口9100万人)。
			
 - 1968年の香港かぜ、 1977年ソ連かぜ。
		
 
		このように10年から20年に一度世界的な大流行がありました。幸い最近大流行はありません。
		
インフルエンザはなぜ冬に流行するのか
		
			- インフルエンザの流行は冬に多い
			
 -  インフルエンザウイルスは低温と乾燥に強い
		
 
		従って、インフルエンザの予防には部屋の加湿も重要です。
		
インフルエンザの症状
		
			- 潜伏期間1〜2日
			
 - 発熱、全身倦怠感、食欲低下、筋肉痛、関節痛などの全身症状
			
 - くしゃみ、鼻水、咳、痰など呼吸器症状
			
 - 顔面紅潮、結膜充血なども認めることがある
			
 - だいたい全経過1週間くらいかかり回復します
			
 - しかし、中には肺炎、脳炎を合併することもあります
		
 
		
インフルエンザの合併症
		
			- 肺炎:
			
				- 成人のインフルエンザの3〜25%に肺炎を合併するといわれている				
 - 高齢者では重篤になりやすい=予防が重要
			
 
			 - 脳炎: 
			
		
 
		
インフルエンザの予防
		
			-  一般的予防
			
			
 - 予防接種 
			
				- ワクチン=平成13 年より65 歳以上には公費負担。任意接種。 
			
 
		 
		
ワクチンの効果
		
			- 発病予防の効果:
			
				- 65歳以下の成人での発病予防有効率80%
				
 - 予防接種を受けずに発病した人たちがもし受けていれば80%の人が発病せずにすんだという意味
			
 
			 - 老人施設入所者で発病に対する有効率
			
			
 - 高齢者の入院を減らす効果
			
			
 - 高齢者の合併症による死亡を減らす効果
			
		
 
		
脳炎・脳症の合併予防効果
		
			- 欧米には少ない合併症
			
 - 1999年1月から3月のインフルエンザシーズンに厚生省が全国集計した、インフルエンザの臨床経過中に認められた脳炎・脳症の症例は、0歳から60歳までで217例。このうちインフルエンザワクチンを受けていた人は一人もいなかった。
		
 
		
学童への接種の効果
		
			- 平成6年までは学童には集団接種が行われた
			
 - インフルエンザの流行は学校で始まることから、学童の感染を抑えれば国民全体の感染を減らせるだろうという考えから行われていたが、それ以来任意接種となった。
			
 - 振り返って調べてみると、平成6年以降、高齢者の超過死亡が増えており、学童へのインフルエンザ予防の効果はあったのではないかと考えられている。
		
 
		
ワクチンの効果の持続
		
			- ワクチンはうってからすぐに効き始めるわけではありません
			
 - うってから2週間たってから効果が出ます
			
 - 効果は3〜6ヶ月といわれています
			
 - インフルエンザがはやるのは1月から3月です
			
 - 従って接種時期は11月中、遅くても年内に、というのが適当でしょう。
		
 
		
ワクチンの効果 まとめ
		
			- 発病予防効果は100%ではないが、十分な効果がある
			
 - 肺炎、脳炎などの合併症を予防する効果もある
			
 - 流行時期を考えると11月に接種するのが適当。
		
 
		
ワクチンの副反応
		
			- 接種局所の発赤、疼痛、発熱などの全身症状が起こることがある。約11%に起こるといわれている
			
 - 多くは2〜3日で自然に軽快
			
 - 卵による重症なアレルギー反応を起こす人は接種を控えた方がよい
		
 
		
ワクチンの問題点
		
			- 添加物
			
				- ゼラチン:1999年以降インフルエンザワクチンからは除かれている
				
 - チメロサール(防腐剤、有機水銀):含有量を減らし、安全基準はクリアしている
			
 
			 - 製造過程で鶏卵を使用=卵アレルギーの場合注意
		
 
		
		
ワクチンを接種すべき人
		
			
				
					
						- 50歳以上の者
						
 - 老人施設入所者、慢性疾患療養施設に入所する全年齢の者
						
 - 呼吸器系、循環器系の慢性疾患(喘息を含む)を有する成人及び小児
						
 - 糖尿病などの慢性代謝性疾患、腎機能異常、免疫低下状態などにより過去1年間に定期の追加検査や入院を要した成人及び小児
						
 - 長期のアスピリン投与を受けている6ヶ月から18歳の者
						
 - 妊娠14週から分娩までにインフルエンザシーズンを迎える妊婦
					
  
					および、これらの人への感染源となりうる者 
					
						- 医療従事者
						
 - 老人施設などで勤務するもののうち入所者と接触する機会を有する者
						
 - 上記の者の生活支援施設などに勤務する者
						
 - 上記の者の在宅介護に関わる者
						
 - 上記の者の家族
					
  
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うがい
		
			- ウイルスに対しては15〜30倍にうすめたヨードうがい液で10秒間、6回以上うがいすることでウイルスが減る
			
 - 学童のデータではヨードうがい液でうがいを行ったクラスではインフルエンザ罹患率も低く、欠席日数も少なかった、というデータもある
		
 
		
手洗い
		
			- インフルエンザウイルスは飛沫感染であるので手洗いによる感染予防効果はあまり期待できない。
			
 - しかし、清潔を意識する効果はあると思われる。
			
 - 手洗いとうがいをセットにする!
		
 
		
マスク
		
			- インフルエンザウイルスそのものはマスクも通過してしまうが、くしゃみ、咳による大きい飛沫を広げない効果はある。患者近くでの感染はある程度防げるだろうと考えられています。
		
 
		
一般的予防
		
			- 体力の維持、生活の摂生
			
			
 - 感染者の多い場所への出入りを避ける
			
			
 - 室内の環境
			
		
 
		
インフルエンザになってしまったら
		
			- 安静、睡眠
			
 - 水分、栄養の補給
			
 - 早期治療(有効な薬あり)
			
 - 他者への感染を避ける=マスク、うがい
		
 
		
早期診断の重要性
		
			- 発病後48時間以内であれば有効な抗ウイルス薬が使われるようになった
			
 - 合併症の予防は早期治療が大切
			
 - ワクチンをうっていてもかかることもあることは忘れずに
		
 
		インフルエンザはただのかぜとは違います。重症化するととてもつらいことになります。迅速診断も可能となり、新しい抗ウイルス薬も使われるようになり、近年かなり進歩しました。しかし、予防にまさるものはありません。予防接種、うがい、マスクなど予防を心がけましょう。そして何より、日頃から体調を崩さないよう無理のない生活を心がけましょう。